カスタマーサクセスの「仕組み化」で実現する顧客体験の最適化
モノグサのカスタマーサクセスチームでは、お客様に対して提供するサービスの質を高められるよう、さまざまな業務の「仕組み化」に取り組んでいます。
ここではおもにオンボーディング期間に取り組んできた内容の一部をご紹介します。「業務の標準化・効率化を進める中でも、お客様への対応品質を向上させたい」と考えている同職種の方のご参考にもなれば幸いです。
オンボーディング期における取り組み
──具体的にどのような業務を行っているのでしょうか?
(阿辺山): 記憶アプリであるMonoxerは、学校や学習塾の先生方を管理者として学習者がしっかりと記憶定着できるようにご利用いただくサービスです。おもに先生向けに活用支援をおこなうモノグサのカスタマーサクセスでは、組織全体として標準化されたプロセスやツールを導入することで、高い品質で一貫した顧客支援を提供することを目指しています。お客様の業界事情として利用開始が3、4月頃に集中する特徴があり、その中で十分な対応の品質を維持するためには業務の標準化・効率化が避けて通れないという背景があります。今回ご紹介するのはオンボーディングの質向上に向けた取り組みの一例です。
▼取り組み1:お客様のご活用フェーズに合わせたKPIの設計
オンボーディングと一口に言っても、いくつかのフェーズがあると考えています。つまりこの時期にはお客様の利用状況がこのようであると理想的であるという仮説があります。それをプロダクト上で計測できる指標を用いてKPIを設定しています。そして、そのKPIを達成するにはお客様とどのようなコミュニケーションが必要であるかを考え、主要な打合せを設計しています。
ただし、お客様の特性や状況もさまざまですので、打合せだけでは不十分な場合も多々あります。そのため私たちは打合せと同じくらい打合せ後の伴走支援を重視しています。具体的にはオンボーディングを中心とした各活用フェーズごとの期待する活用状態を定義したうえで、そこに到達するまでの必要なステップを洗い出し、進捗できていないお客様をさまざまな手段でご支援するフォロー体制です。
※年間を通したKPIと打合せ・フォローの流れ
また、お客様がプロダクトの操作でつまずいてしまった場合、一緒に画面を見ながら素早く質問を解消するための仕組みとして「いつでも相談室」というオンラインの相談スペースを設置しました。お客様が必要とする情報を迅速に提供できる建て付けとしています。従来はお電話やメールで各担当者がお客様のご質問の回答にあたっていましたが、お客様にとっても繁忙期でありタイミングが合わないことで機会損失が見受けられました。
もっとも忙しい時期は予約不要でいつでもオンラインの相談室に入ってハンズオンでサポートする体制を整えたことで、昨年よりもスピーディにお客様をご支援させていただくことができるようになり、品質を維持しながら業務を遂行することが可能になっています。
※WEB管理画面上で「いつでも相談室」をご案内したバナー
▼取り組み2:ご活用スタート時における主要な打合わせの標準化
プロダクトご導入時にはキックオフMTGや操作説明会などいくつかの打合せを実施しますが、お客様の属性から新年度前後の3、4月に業務が集中するという課題がありました。また、属人的な対応により、お客様との打合せ時間やお伺いする項目が異なり、効果的な活用をご支援する上で不十分な場合もありました。
いくつかあるスタート時の打合せの中でも、キックオフMTGは活用の方針をお客様とすり合わせるとても重要な打合せと位置付けています。そこで私たちはこの打合せでヒアリングする内容を標準化し、各ヒアリング項目の意図を社内でも目線を合わせることで当日の進行をスムーズにできるようにしました。これによりお客様の実現されたいことや、そのためにプロダクトをどう活用していくかなど漏れなくお伺いすることができます。授業の合間など貴重な時間を割いていただいている中で、確実に必要な情報をお伺いできる仕組みを整えています。
また、打合せの資料はGoogle AppSheetをヒアリングシートとして活用することで、お客様と目線合わせをしながら打合せを進めています。加えて、打合せの内容はSalesforceに自動連携するようにしています。お客様との打合せで伺った内容をしっかりと入力して管理していくことは重要ですが、このために多くの時間を割くということは本質的ではないと思っています。この取り組みによって、打合せ後の記録のための時間を削減できたとともに、議事録を打合せ後すぐにお客様にお送りできるようになっているので、お客様視点でもよりよい取り組みだと考えています。
さらに、短時間で何度も実践できるロールプレイングの仕組みとして「クイックロープレ」を設けて、メンバー同士で定期的にフィードバックを行い、スキルの向上を図っています。
※打合せ資料一部抜粋。ヒアリングする目的や項目を整理
業務のやりがいとおもしろさ
──ここからは仕組み化の業務をメインで担当されている他の皆さんにもお伺いしていきます。業務に対する想いややりがい・おもしろさについて教えてください。
(阿辺山): 私たちは担当者による個別対応だけに頼らず、チームでお客様の活用を伴走するという新しい取り組みも実施しています。迅速にPDCAを回し、行動に移せる点におもしろさを感じています。またここで築き上げた施策の応用が徐々に進んでおり、微力ながらCS組織全体でのレベルアップに関わっていけることにやりがいを感じます。
(松平): お客様と私たち双方の生産性が向上していく過程に関われることに大きな価値を感じています。お客様にとっても、打合せや問い合わせに時間をかけずに活用できることが重要だと思っているので、そのサポートができることに喜びを感じます。
(山口): 今後お客様がさらに増えても、導入成功の機会を安定的に提供できる環境を整えたいと考えています。そのためにお客様視点で俯瞰して考えて、ご支援体制やフローを0から1へと整備していく過程がおもしろいです。そしてそれが結実して、実際に活用促進に貢献できた時はとても嬉しいですね。
印象的なエピソード
──ここまでの業務の中で印象的なエピソードがあれば教えてください。
(阿辺山): 施策を考える中で、モノグサのカスタマーサクセス全体の在り方について議論できたことが印象的でした。また、多くのお客様と対峙する中で、より深いお客様の理解につながっていることも大きな成果だと感じています。
(松平): 仕組み化が進んだことで、余裕を持ってお客様対応ができていることと、それに応じてお客様の満足度に繋がったことが嬉しかったです。
直近の施策としてお客様に利用満足度のアンケートを実施したのですが、ポジティブな回答が返ってきたことも嬉しかったです。
※お客様の利用満足度アンケート
(山口): 今年からカスタマーマーケティングのチームも立ち上がり、お客様の活用事例を記事化し展開していく活動も行っているのですが、メンバーから「よりお客様に満足いただける機会を作れた」との喜びの声を聞いたことが印象に残っています。私たちの施策が他のメンバーにも貢献できたことが嬉しかったです。
※活用事例記事はお役立ちコンテンツページに掲載
仕組み化における成果
──ご自身が担当した業務で、特に成果を実感した点を教えてください。
(阿辺山): 一つひとつの打合せ単位ではなく、オンボーディング期にどのような支援体制があればプロダクトを無理なく活用いただけるかといった一連の対応を標準化できたことです。
お客様との打合せでの価値発揮にとどまらず、その後のフォロー体制を属人化させずに構築できたことは大きな成果です。昨年以上に高い活用度となっているお客様もいらっしゃり、嬉しく思います。
(松平): オンボーディング後のお客様に対して、活用度や組織体制に合わせて伴走していく体制を整備できました。これまでは打合せの内容もケースバイケースになってしまっていましたが、一定の型化ができたことでお客様に最適なご支援を誰もが標準的に対応できるようになったと考えています。
(山口): これまでお客様と直接お打合せなどでご説明していた活用促進に繋がり得る機能を、より迅速に多くのお客様に訴求出来るような仕組みも構築できています。
プロダクトの利用状況に基づいて新たな機能の活用が必要なお客様を推測し、WEB管理画面上でのポップアップやメールなどでご提案する仕組みを整えたことで、個々にご提案の場をセットせずとも、効果的にご活用いただけるお客様が増えています。
困難を乗り越えたエピソード
──また、困難を乗り越えたエピソードを教えてください。
(阿辺山): 仕組み化の 取り組みを始めた初期の段階では、CSメンバー間での業務整理や連携に向けた議論にもずいぶんと時間を割きました。単純に分業するのではなく、どうすればお客様にとっても最適な活用体験になるかを、時にはチームをまたいで議論しました。
大変だった半面、常に本質的なカスタマーサクセスとは何かを議論できたことは、非常に有意義だったと実感しています。
(松平): 阿辺山さんからもありましたが、お客様へのベストな対応の価値観が人によって異なるので、最初は私も含めて苦労した部分もありました。やるべきことがカスタマーサクセスチーム全体としてぶれないよう、常にメンバー間で話し合うことが大事だと強く感じました。
(山口): やはり仕組みだけ用意しても、仕掛けがないと社内でもうまく浸透していかないというのは強く実感しました。ただ先ほどお伝えしたメンバーからの喜びの声のように、取り組みが浸透すれば全てのカスタマーサクセスメンバーを下支えできる基盤を作れると思っています。今後は仕掛け作りにもしっかりと時間を割いていきたいと思います。
今後のチャレンジ
──今後チャレンジしたいことがあれば教えてください。
(阿辺山):「何を憶えさせるか」「どれくらい憶えさせるか」はお客様ごとに千差万別です。そのため最適な活用度もこれだ!と言い切れない難しさがあるのですが、お客様の目指す姿ごとに進むべき活用ルートが分かっていれば、多くのお客様が無理なくそこにたどり着けるようになります。今はキックオフMTGの場でご一緒に検討しているものをより高解像度で私たちが理解できれば、いずれはその打合せ自体も不要であったりより短時間で進められ、お客様にとってもその時間を別のより重要なことに当てていただけます。
そのために私たちが顧客体験の中でも「〇〇なら満足いただいている/不満・課題を感じている」というポイントを高い精度で言語化し、それを基に効率化を図りたいと思っています。
(松平): 最終的には、お客様とカスタマーサクセスメンバーがやり取りをせずとも、お客様に十分ご満足いただける水準まで活用が進められる形が理想だと思っています。そのために、オペレーションの改善と製品の品質向上に取り組んでいきたいです。
(山口): 真に成果を実感していただける顧客体験の再現性を高めたいと考えています。Monoxerは「記憶」に特化した独自のプロダクト価値を持っていますが、その分、従来の手法ではお客様の組織内で十分に浸透しないこともあります。だからこそ、その価値を効果的に実感していただけるサクセスプランの設計に挑戦していきたいです。
また、カスタマーマーケティングの拡充も進めていきたいです。お客様がプロダクトを最大限に活用していただくためにも、中長期的に重要な領域だと考えています。
モノグサ株式会社では一緒に働く仲間を募集しています。
少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひお話しましょう!