【モノグサPdMシリーズ vol.6】Monoxer数学プロジェクトのご紹介
Introduction
こんにちは、モノグサ株式会社でプロダクトマネージャー(以下、PdM)をしている藤原(ふじわら)です。
本記事はモノグサ株式会社のPdM業務を紹介するシリーズの一つになりますが、私からはモノグサ社内で進行中のプロジェクトの一つである数学プロジェクトについてご紹介させていただきます。本記事を読んで、モノグサのプロダクト及びPdM職に興味を持っていただけたら幸いです。また、本シリーズの以前の記事は以下のリンクから閲覧することができます。
そもそもMonoxerって?
数学プロジェクトそのものの前に、全てのプロジェクトの前提となる弊社のサービス「Monoxer」について簡単に紹介させてください。
モノグサ株式会社は、記憶のプラットフォームであるSaaSサービス「Monoxer」を開発・提供しています。対顧客向けには、分かりやすく「解いて憶える記憶アプリ Monoxer」とお伝えしている事も多いプロダクトです。
例えば1ヶ月後に英語のテストがあり、そのために英単語を300単語憶えなければならない状況があったとします。手元に英単語帳があるとして、皆さんはどのように学習を進めますか?
1日にどのくらい勉強しますか?1日に何単語憶えますか?
憶え方はどうしますか?ひたすら書く、ひたすら耳で聞く、発声してみる、それとも黙々と読む?
何を持って憶えたとしますか?日本語訳を隠した状態で1度日本語訳を言えたらOK?それとも昨日憶えた単語を翌日テストして憶えていたらOK?
「英単語の暗記くらいやればできるでしょ」と思われるかもしれませんが、「効率の良い記憶の仕方ができていますか?」と問われたとき、自信をもってYesと答えられる人はそれほど多くないのではないかと思います(当然、効率の悪いやり方をしている人、なかなか単語を憶えられない人もいるでしょう)。
Monoxerは端的に言うとこのような悩みに対して
「効率の良い記憶の方法」に基づいた記憶体験をツールとして提供
愚直に目の前の1問1答に回答し続けるだけで簡単に記憶できる
というソリューション(及び、その上で学習するコンテンツ)を提供しているプロダクトになります。
他にも様々な工夫や仕組みがあるのですがここでは到底書ききれないので、Monoxerについてもっと知りたい!という方はぜひ以下のリンクを御覧ください。
数学をMonoxerで勉強する
ここから本題である数学プロジェクトのお話をさせていただこうと思います。まず、数学って記憶とはかなり距離がある学問では?と思われる方も多いのではないでしょうか。実際、先ほど例に上げた英語と比較して「Monoxerでこう学習すると良い」というイメージが湧きづらく、なかなか活用が広がらない領域であることは間違いありません(だからこそ記憶のプラットフォームを開発している会社にも関わらず、「数学」という1つの学習領域に対してプロジェクトが立ち上げ、コンテンツ開発まで範囲を広げて取り組んでいるわけです)。
そんな数学プロジェクトをどう進めてきたかを紹介させていただき、モノグサのPdMってこういう仕事もしてるんだ、というところを感じ取っていただけると幸いです。
何を記憶できると嬉しいのか
Monoxerは記憶のプラットフォームであり、効率の良い記憶体験を提供するアプリケーションです。つまり「記憶して嬉しいもの」が存在することが大前提となっており、そこが曖昧なままではどれだけ良い記憶体験を提供できたとしてもユーザーに価値を届けることができません。数学領域において「記憶して嬉しいもの」はモノグサ社内に自明なものとして当時存在しておりませんでした。
そのため数学プロジェクトを始めるにあたって、「記憶して嬉しいものは何か」を考えるところからスタートする必要がありました。記憶して嬉しいもの・・・・・・、公式?典型問題の解答全て?いろいろ考え方がありそうですが、本プロジェクトで設定した仮説は簡単にいうと以下のようなものです。
数学の問題を解く際、問題文から解答に至るまで一つ一つ何らかの「数学的事実」を適用させていきながら状態を少しずつ進めていっているように見える
状態に対しどの数学的事実を適用すべきか、解答までトータルでどのような道筋を立てるべきかなどは思考を巡らせる必要があるが、一つ一つ適用する行為自体は思考を巡らせることなく即頭から引っ張り出してできるようになるべきなのでは(そこで頭を使っているようでは本来頭を使うべきところにリソースを使えないのでは)
一つの数学的事実を適用させて状態を一歩進める操作を記憶事項として定義できれば、数学領域において記憶して価値のあるものを定義することになるのでは
このような仮説を立て、さらに数学有識者の知恵も借りながら「記憶して嬉しいもの」をプロジェクト内で定義してきました。定義したものが具体的にどのようなものなのかの説明は割愛させていただきますが、このように新しい領域にプロダクトを広げる際、「記憶」というものを中心に据え仮説・検証を進めていくのは非常にモノグサっぽい業務だなと思うところです。
どうやって記憶させるか
「記憶したら嬉しいもの」が定義できれば、あとは既存のMonoxerの仕組みに乗せて効率の良い記憶体験を提供することになりますが、記憶対象によっては新しい記憶体験の仕組みを開発する必要があります。数学プロジェクトでは、記憶したい対象が既存のものと大きく異なるものであったため
記憶をどのような構造で定義するか
効率よく記憶させるための学習体験(問題設計) はどうするか
も合わせて開発をしています。記憶をどう構造化しデータとして保持するのかについては非常に細かい話になるため割愛させていただくとして、実際の学習画面を少し紹介させていただきます。
以下は、比較的最近作成した中学生向け数学コンテンツの画面になります。
Monoxerの学習では、問題を間違えた学習者に対して解説を読ませるのではなく難易度を下げたりヒントを与えた同様の問題を出題する、つまり難易度調整を通して間違えた問題を解けるように導いていくのが体験の基本スタイルとなります。数学でもその例にもれず、問題を間違えた人に対していくつかの仕組みを提供しています(右図のヒント文などもその工夫の一つです)。また、UI・UX上の工夫も必要であり、スマートフォンやタブレット上で数式全てを入力させる労力を緩和するための回答形式(左図の穴埋め)も本プロジェクトで検討したものになります。入力を緩和しすぎると記憶効率への影響が出てしまいますが、複雑な入力を求めすぎると特にスマートフォン上では非常に煩わしい体験になりかねず、今後もバランスを考え続けていく必要がある部分です。
今後のチャレンジ
このような開発を経てリリースされたMonoxer数学ですが、もちろんこれでプロジェクト完了とはなりません。実際にリリースされたものが学習者にどう利用されているのか、我々が届けようとした価値が実際に届いているのか、実際に学習者の数学成績向上に寄与できているのかを注意深くウォッチし、よりよいものへと改善していくことも重要なプロセスです。また数学領域は英語などの他領域と比較し、Monoxerが提供する学習体験と既存の学習体験(数学は特に紙と鉛筆でガリガリ書きまくっていると思います)との乖離が大きく、教育現場やユーザーに受け入れられるのかという点も注視したい点です(現にリリース後、様々なお声やフィードバックを頂いております)。
モノグサとして届けたい記憶という価値は大事にしながらもより多くの教育現場に心地よく使っていただけるものになるよう今後も継続的に開発を続け、数学教育そのものに何らかの変革をもたらすところまで成長させていくことが本プロジェクトの今後のチャレンジとなります。現在は成績をあげることが難しい、苦手な子が多いとよく言われる数学ではありますが、より多くの人がより効率的に数学力を身につけられるようになるプロダクトを目指していければと思います。そして、数学のような一見記憶からのアプローチが難しそうな学習領域への拡張に対してもPdMとして貢献し続けていきたいと願っています。
最後に
いかがでしたでしょうか。あくまで社内の1プロジェクトの簡単な紹介ではありましたが、少しでもモノグサPdMの業務イメージ(やや特殊ではありますが)を共有できたならば幸いです。
こういった「記憶」を中心にプロダクトの可能性を広げていく、もしくは様々な記憶の効率を突き詰めていくこともモノグサPdMの重要な業務の一つです。このような仕事に興味を持たれた方は是非当社までご連絡ください。また、以下からカジュアル面談の申し込みができますので、こちらについても気軽にご応募ください!