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【INTERVIEW / SWE】記憶定着に最善な学習体験とはなにか?Monoxerの根本を疑い、学習者の深層心理に向き合い続ける

2022年11月に入社し、エンジニアとして活躍する柳井さん。これまでのキャリアから、モノグサでの働きがい、今後の目標について詳しくお話しいただきました。


関心高く携われる環境を求めてモノグサへ

――モノグサ入社前のキャリアについて教えてください。

柳井:大学卒業からモノグサ入社までの間に、2つの会社を経験しています。

1社目は証券会社です。学生時代から経済に興味があったこと、これまで学び身につけてきた数理的な強みを活かせることを仕事につなげられないかを考え、クオンツアナリストという職種で3年半勤務していました。経済や株式市場を定量的に分析し、将来の動きを予測することが主な業務内容になります。

実際に仕事として取り組んでみて、経済はもちろんのこと株式市場についても無機質に動いているわけではなく、背景には人の動き・心理といったものがあり、それを考えることに面白みを感じました。人の動きが世の動きに反映され、それがまた人の動きに繋がっていくことを体感できる仕事でした。
そもそもなぜ人はこう動くのか、根本は何なのか、それぞれがどうつながっていくのかという哲学的なことを考えるのも好きだったので、自分の関心とはまるものだったと思います。

――ファーストキャリアはかなりご自身の興味・関心に合ったものだったのですね。そこから転職された理由は何だったのでしょうか? 転職先のお仕事についても教えてください。

柳井:1社目での仕事は変わらず関心の高い領域ではあったのですが、個人だけではなくチームで成果を出していく環境、エンジニアリング的な能力を高められるような環境に挑戦してみたいと考えるようになりました。

そして、2社目はAIのベンチャー企業へ転職を決めました。自社のスキルとお客様のもつデータやドメイン知識を掛け合わせ、共同研究のような形で課題解決を進める会社でした。私はデータサイエンティストとして、データ分析・解析をもとに、活用までをお客様とお話ししていました。前職の仕事も、経済・金融という領域には絞られつつも、データを扱う点は似たところがあるのですが、お客様と一緒に案件を進めるというところは大きく異なっていました。どちらかというと1社目の方が研究寄りで、2社目はクライアントワークの側面が強かったと思います。新しい経験を積むことができたなと感じています。

――そこからモノグサへ転職した理由は何だったのでしょうか?

柳井:仕事として関わる領域の重要性に気づいたことがきっかけです。2社目の会社で多様な業界のお客様と一緒に働く中で、あらためて自分が関心を持って取り組める領域とは何かについて考えるようになり、「人が大きく関係するところ」が浮かんできました。さらに掘り下げて考えていったときに「教育」への関心が一番高いことがわかってきたんです。

もともと、何かを学ぶといったことに興味があったことが大きいのですが、学生時代の塾講師の経験等を通して、同じことを学習してもうまくいく子・そうでない子がいること、その差がなぜ生じるのかを考えることが多くありました。この課題解決に取り組める仕事がしたいと考えるようになっていきました。

その上で、自分のエンジニアとしてのスキル向上も含め考えてみたときに、EdTechの企業が視野に入ってきました。EdTechにも色々あると思いますが、「何を学ぶのか」というアダプティブラーニング的なアプローチだけではなく、「どう学ぶのか」という学習体験自体をよくしていくことに携わりたいと考えていました。このような軸で企業を調べて行く中で、競技プログラミングコンテストを開催しているAtCoder経由で、モノグサに出会いました。

――モノグサ入社の決め手は何だったのでしょうか。

柳井:学習体験自体の改善に携われることに加えて、課題として掲げる"記憶"の考えが広いことです。モノグサは「英単語の記憶」といった特定の科目に限らず、数学やセールスイネーブルメントなど新領域にも踏み込んでおり、単純な記憶に留まらない領域にもアプローチしています。業界も教育に留まらず今後拡大していくことを視野に入れて事業を行っているところから志望度が上がりました。

学習モチベーション維持に繋がる機能開発をやり切る達成感

――モノグサでの業務について教えてください。

柳井:現在はエンジニアとして、学習体験の改善を行うチームに所属しています。

直近では、「手書き機能」のアップデートを担当していました。具体的には、何も知らない状態から文字の書き方を学習した場合でも、学習の過程で間違える経験を減らし、モチベーションを維持しつつ、しっかり文字の書き方を憶えられるようにするための機能の開発です。それ以前は数学機能の開発・改善も担当していました。

――柳井さんが携わっていた「手書き機能」のアップデートについて、詳しく教えていただけますか。

柳井:まずこちらの機能に限らない前提として、「記憶効率を改善する、かつ学習のモチベーション維持につなげる」ことは、開発するうえでの目標になっています。記憶効率が悪いとMonoxerで学習する価値が薄れてしまいますし、学習モチベーションが続かないと記憶効率が良くても使い続けてもらえなくなってしまいます。

「手書き機能」の場合、改修以前は学習者の記憶度に対して与えられる難易度が3段階用意されていました。「写経モード」という答えの文字をそのままなぞり書きする形式と、次の1画の書き出しが点で表示される形式、何もヒントが表示されない形式です。この3段階だと、一番易しい「写経モード」から、次の段階のヒントを元にした学習に移行する際の学習難易度の差分が大きいことが課題の一つとしてありました。また、初めて学習する際は書き出しの点が表示される形式で出題されるため、そもそも見た事のない文字だと初回は必ず間違えてしまう、という課題もありました。

これらにより、学習者が正解にたどり着けないのはもちろん、先に進めず学習のモチベーションが下がり、学習自体続けたくなくなってしまうケースもありました。こういった課題をクリアにした上で、今回のアップデートでは間の難易度の学習形式、動的な難易度の移行を用意することで、学習しやすくすることを試みています。

――実際に開発に取り組まれて、大変だったこと、やりがいを感じたことはありましたか?

柳井:まず機能面の検討において、間違える体験を減らすと同時に記憶効率についても改善することに力を入れていました。この両方の実現を目指すのは、大変ですがやりがいがあったと思います。例えば極端な話、ずっと「写経モード」で出題すれば間違える体験はほとんどなくなりそうですが、産出効果(生成効果)が薄いため実際に記憶できるまでの時間は長くなることが予想されるでしょう。憶えるまでの時間が長くなれば、間違える体験が減ったとしても、最終的にはモチベーションに対してネガティブに影響してしまいます。そのため、単純に間違える体験を減らすだけでなく、記憶効率も維持・改善する、という観点でどうあるべきか、というのを考えていました。細かい選択肢も入れれば機能の候補としては様々なものがあり、実際やってみないと分からない側面も多い中、記憶効率とモチベーションを軸にある程度あたりをつけて検討していくのは、面白い点でもあり大変な点でもあったかなと思います。

また、プロジェクト全体を見た場合に、最初にどう進めていくか考えるところも大変でしたね。PdMの方とおおまかな流れを相談し、開発サポートをしてもらいましたが、基本的に進行は私一人に任せていただいていたので、具体的に何をどうするか決めなくてはいけないこと、考えなくてはいけないことが多かったです。ただその分プロジェクトをきっかけに、他部署の方とお話する機会もぐっと増えました。カスタマーサクセス、セールス、デザイナーの方と一緒になって、横断的に進めることができたと思います。

モノグサでの開発は、これまで経験したものと技術的にも性質的にも異なっていて、新しい経験ばかりでした。そのため大変なこともあったのですが、総じて「やってよかった」「楽しかった」に言い換えられる経験だったと思います。自身がまず一から考え、開発し、テスト、リリースと進められたことは本当に良い経験だったと思っています。裁量が大きい分、得られるものも大きいと感じています。

本当に"よい"学習体験は何か、根本に立ち返る

――柳井さんの今後の目標について教えてください。

柳井:今担っている「学習体験の改善」は、今後も続けていきたいです。中長期的に「今の学習体験そのものが最善なのか」ということも探っていきたいですね。

今のMonoxerでは、記憶したい情報をBook(Monoxer内の問題集)としてまとめ、学習計画通りに学習を進めてもらうことを前提としています。もちろん現段階で最善だと思う形でMonoxerの提供を行っていますが、そもそも、Bookという形式や学習計画という機能を使って進める学習が記憶定着にとって最善であるのかは常に疑問を持ち、本当に良い学習体験の形を探り続けていきたいと思っています。

また、ビジネス的な話を置いておくと、個人的にはMonoxerを利用することでMonoxerがなくても記憶できるようになると良いなと思っています。「Monoxerを使うと記憶できる」だけでなく、「(Monoxerを使うと)Monoxerがなくても記憶できるようになる」。これ自体も大きなことですが、その上で使い続けたくなるようなものを提供できるとより良いかなと思っています。

最初の方でもお話ししたのですが、根本はどうなっているのかという問い、哲学的な考えは、大事にしているところです。一緒に働く開発メンバーも、立ち返って考えるタイプの方が多く、こういったプロダクトの根本について議論することもあります。

――柳井さんの考える「記憶を日常に。」が実現した世界について教えてください。

柳井:「可能性が広がる」というのはまずあるのですが、少し別の角度で言うと、「できることが肯定される機会も増える」ようになると思います。できることは良いことである、記憶できることは良いことである、といったような考えは、当たり前のようで当たり前ではないと思っています。個人的に、できること自体は肯定されてよいことだと考えていますが、現状、どこでも誰でもできたら肯定される環境ではないと思うんです。「できる」が広がることで、できる人・できたことが純粋に肯定される環境も整うのではないでしょうか。

モノグサ株式会社では一緒に働く仲間を募集しています。
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