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灰とダイヤモンドとソフトウェア・テスト

この記事は Monoxer Advent Calendar 2024 6日目の記事です。

こんにちは!やまもと@テスト番長です。
みなさんは「灰とダイヤモンド」という昔の映画をご存じでしょうか?
ポーランドの巨匠:アンジェイ・ワイダ監督の1958年の作品です。


「灰とダイヤモンド」

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%B0%E3%81%A8%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

ドイツ軍が降伏した1945年5月8日のポーランドを舞台に、暗殺者マチェックが悩み戸惑い、標的を始末し損なって最後はゴミの山を這いずり回りながら惨めに死んでいくラストが印象的でした。

演ずるは、ポーランドのジェームス・ディーンことズビグニエフ・チブルスキー。
カッコ良すぎる。似てるメガネ探したりしたもんでした。

出典:https://akademiapolskiegofilmu.pl/pl/historia-polskiego-filmu/filmy/popiol-i-diament/39

その昔、美大浪人していた頃、芸術的センスを磨くべく仲間たちと一緒に目ぼしい名画を借りて見まくっていたことがあり、この映画もその中の1本でした。VHSのビデオを借りてきてわくわくしながら見たのを覚えています。いやーなつかしい。

当時は情報源も限られており、なんとなくモノクロ映像かっこいい!とかチブルスキーかっこいい!くらいのミーハーさで終わっていたのですが、先日気まぐれにこの映画についてググってみました。今は検索すると楽に色々な情報が出て参りますね。便利。

「灰とダイヤモンド」という題名の元ネタはチプリアン・カミユ・ノルヴィッドという詩人の「舞台裏にて」という詩からの引用だそうです。
劇中では教会の墓碑名に刻まれていた詩として登場します。

松明のごと、なれの身より火花の飛び散るとき、なれ知らずや、我が身をこがしつつ自由の身となれるを。持てるものは失わるべき定めにあるを。残るはただ灰と嵐のごと深淵に落ち行く混迷のみなるを。永遠の勝利の暁に、灰の底深く燦然たるダイヤモンドの残らんことを…。

とても印象的で美しい詩ですね。
戦禍に塗れ、辛い歴史の多き土地ならではの精神性というか、気高さを感じます。途絶えることなき戦火の果てに勝利と自由を掴み、灰の奥深くに燦然と輝くダイヤモンドが残る、、

・・・・・・・いや、ちょっと待って。待って。待って。

ダイヤって、炭素の塊だから燃えるのでは?
猛火で焼け落ちた灰の中には残らないよね?

と余計なことが頭を過ります。若い頃にはなかったおっさんの視点!まさにQAの性!綺麗なまま放っておけばいいのに!と思うけれど気になるのだから仕方がない。

ダイヤモンドは燃え残るのか?

ダイヤモンドが燃えると言っても、バーナーの火くらいでは火は付かないようですが、火葬場でご遺体が身につけていた指輪なんかは燃えてしまうようです。600度くらいから変質するそうな。

世界で一番硬いといわれている宝石ダイヤモンドは燃えるのか?

火事では1000度にもなるらしいので、たぶん戦火で街が丸ごと燃えていたりしたらダイヤモンドは耐えられないでしょう。

ともあれ、大量の灰燼の奥深くに燦然と輝くダイヤモンドがもし残ったとして、それを探し出すにはどうしたら良いのか。
これ、ソフトウェア・テストにちょっと似ている気がしませんか?
なぜなら不具合を見つけることは、燦然と輝く改善のチャンスを見つけ出すことですからね。

灰の山からダイヤモンドを見つけ出すには

ちょうど個人的にスクリーニングの技法が気になっていたところでした。
文字通り「ふるいにかける」ことを表す用語で、あまり精度を要求されない状況でよく使われる足切り的なイメージがあると思います。
ソフトウェア・テスト界隈だとあまり見かけませんし、ISTQB Glossary(用語集)で検索してもHITしません。ITの世界だとネットワーク関連の用語ということになりそうです。

でも対象が大量だったり重要なものになると、高度なロジックと長期での効果実証が求められることを最近知りました。例えば、新生児向けのマススクリーニング。赤ちゃんの疾病を早期発見して治療しようという活動ですね。

マス・スクリーニングについて

マス・スクリーニングについては以下のページが分かりやすかったです。

まだ拾い読みし始めたくらいの理解度で恐縮なのですが、
なんでも、マススクリーニングの対象となる疾病には条件があるのだそうです。

スクリーニングの原則と実践 より以下に引用します。

( 1 )スクリーニングの対象疾患は健康上の重要な問題である。 
( 2 )スクリーニングの結果、診断された疾患を有する患者のために、[有益性が] 認められた治療法が存在する。 
( 3 )スクリーニングの結果、診断された疾患に対して診断および治療が可能な医療 機関が存在する。
 ( 4 )スクリーニングの対象疾患は症状が発現する前、または初期症状を呈する段階 があり、その段階での診断が可能である。 
( 5 )スクリーニングのための適切な検査または診察方法がある。 
( 6 )スクリーニングに用いられる検査は集団に受け入れられるものである([対象者に嫌がられるような検査ではない])。 
( 7 )スクリーニングの対象疾患は、症状が発現する前の段階から発症した段階に至 るまでを含む自然史が十分に理解されている。 
( 8 )どのような者を患者として治療するかについて一致した方針がある。 
( 9 )患者の見つけ出し(診断から治療までを含む)の費用は、医療に支出される費 用の全額と比べても経済的にバランスがとれている。 
(10)患者の見つけ出しは継続的に実施されるプロセスであり、「一度きり」の事業 ではない。

どうでしょう。ソフトウェア・テストに置き換えても十二分に通用しそうな原則が並んでいると思いませんか?

ソフトウェア・テストでも効率よく不具合を抽出したり予防したりすることを求められる訳ですが、その基準や方針決定のプロセスについてはしばしば非論理的だったり、短期的な目的を実現せねばならぬ、といった組織の論理に振り回されて基準がブレることって、ありがちですよね。(幸いなことに弊社ではそんなことはありませんが。)
これを見つけた時嬉しい気持ちになりました。さすが医療の世界は重みと歴史があります。

もうすぐ年末年始のお休みになりますので、ダイヤモンド(=真に見つけ出すべき不具合)を発見するためのソフトウェア・テストにおけるスクリーニングの原則をゆっくり考えてみたいなと思っています。

まだ少し早いですが、みなさま良いお年をお迎えください。

出典:https://mubi.com/en/notebook/posts/act-like-a-man-the-defiant-individualism-of-zbigniew-cybulski

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