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「誰と働くかを」大切に、まずはARR100億円企業を目指して ~モノグサ新役員が描くこれからと仕事観に迫る~【後編】

2023年7月よりモノグサの非常勤取締役として、サイボウズ取締役の林忠正さんに参画いただきました。

そこで、前職時代から親交の深かったモノグサCFOの細川より、林さんに様々なお話を聞かせていただきました。
後編では、林さんから見たモノグサと、林さんの仕事観に迫ります。
(前編はこちら

CFO細川の熱意でモノグサへの参画を決意、モノグサのコーポレート領域を支えることに

モノグサ 非常勤取締役 林 忠正

細川:今回、モノグサへのオファーに応じてくれた決め手は何でしたか?

:それはもう細川さんの熱意です(笑)。自分が人間的にも能力的にも信頼している人が「一緒にやりましょう」とそこまで言ってくれるなら、応えないわけにはいかないなと。
また、モノグサのミッションや思想はお聞きした時から素晴らしいと思っていました。経営者の2人にもお会いした時にも、それぞれ強い専門性があると感じましたね。

自分は営業とエンジニアリング以外をある程度オールラウンドにこなせる所に強味があると思っています。そこでコーポレート領域を中心にモノグサが今抱えている大変そうなところを肩代わりできれば、CFOの細川さんが強みであるファイナンスに集中でき、より経営ボードのパフォーマンスを高めることができるのではないかと考えました。

細川:林さんには以前から業務委託としてコンサル的にサポートをしてもらっており、5月からは経営会議にも出てもらっていますよね。1年半ほどモノグサに関わってきた中で、印象などは変わりましたか?

:なかなか難易度の高いビジネスを提供しているなと思う度合いは強まりました。モノグサが提供しているのは、アプリケーションレベルのわかりやすい価値ではないですよね。サービスの根底にある思想、それをプラットフォームに載せてビジネスを展開しているんだなと。その意味で簡単ではないことは中に入ってみると改めてわかってきました。とても良い意味で、意識の高いビジネスだと感じています。それに共感する人たちが沢山集まってくるのも納得できる気がしますね。

細川:働いているメンバーも含め、モノグサのカルチャーについてはどのような感想を持ちましたか?

:やっぱりボードメンバーは非常に優秀だなと感じています。ただ、現在の100人前後から、300人・500人・1000人…とメンバーが増えていく世界観へ移行するにつれ、決めなければならないことの質が大きく変わってくる気がしていて。具体的には、より「捨てる、任せる」という要素を明確にしていく必要性が出てくると思います。それはまだあまり経験がないと思うので、これから先ボードメンバーとしては一つ乗り越えなければならない壁になるかもしれません。

メンバーに関しては、とても熱意を持って一生懸命に取り組んでいる印象があります。前へ前へと向かっていく姿勢が素晴らしいなと感じますね。一方で、リアリティのない予測や計画を持ってしまうと良くないので、自分たちがこなせる範囲の見極めがより上手くできるようになれば良いと思います。
また、モノグサでは「細部にこだわる」ことを行動指針としても大事にしていると思いますが、メンバーが考えてくる戦略や施策を見た時に、それが浸透しているなという印象を持ちました。

細川:まさにモノグサが拡大していく中で、「捨てる、任せる」といった要素が重要になることは考えていました。これは経営を行いながら考えていくことになると思うのですが、どうすればより良い判断ができるのでしょうか?

:おそらく何回かは失敗するはずですし、その経験は必要だと思います。持ちすぎて回らなったり、持っておかないといけないのに渡してしまったりといった経験をしながら見極めていくのが一つですね。

もう一つは自分が役に立てることとして、サイボウズで50億から200億の規模に向かう過程を経験してきている分、アドバイスはしやすいのではないかと思います。「それはもう離してもいいんじゃない」とか「それは経営が決めるべきだから持っておかないといけないよね」といった感じで。
そうした物差しの役割を果たすことで、経ないといけない失敗の数を減らすことや、間違えずに判断できるための一つの支えになれればいいなと思っています。

細川:自分で聞くのもあれですが「ボードメンバーが優秀」と言っていただいたことについては、具体的にどのような面でそう感じましたか?

:一定の水準を超える人って、専門外の領域の話題についても深いところの理解に到達するまでのスピードが速いと考えています。モノグサのボードメンバーはみんなそのような印象があります。領域外のテーマについても、すぐに本質的な議論ができる体制が整っている感じですよね。なかなかそんなメンバーが揃うことはないと思います。

細川:ありがとうございます!(笑)

「記憶を日常に。」するためにARR100億円企業を目指して

モノグサ CFO 細川 慧介

細川:少し質問は変わりますが、モノグサの経営に関わっていく中で、これだけは絶対に実現したいといったことはありますか?

:長期的には、人々の日常的なツールとして自然とMonoxerが使われるようになることが理想だと思います。ですが自分としてはもう少し短期的に「まずは❝100億(売上)の世界❞をみんなで見ようよ」といった感じですね。
その世界観になると認知の度合いが現在と大きく変わってきますし、原資が大きい分打てる戦略や打ち手の幅も全然違ってくるはずです。そのレベルの自由度の中で、みんなが勝負できる環境を作ってみたいと考えています。

細川:そう考えるのはサイボウズで実際に経験したことも大きいですか?
50億と100億って、金額としては50億の差だけど全然違うな、みたいなことを感じられたのでしょうか。

:そうですね。サイボウズで今は製品別の売上なども出していますが、メイン商品だけでも100億くらいなので。そのレベルになると、一つのプロダクトの中で出来ることが増えてきますし、やっぱり勢いも出てきますね。気持ち的な話だけではなく、売上の勢いってすごく大事だと思います。営業にしても、世の中の人に製品が何なのか説明しながら売るのと、人々が製品について知っている状態で売るのとでは全然レベルが違ってくるはずです。
そのレイヤーに到達するまでは絶対に努力が必要となりますが、到達できた時には感覚が全く変わってきます。それをみんなで共有する体験はモノグサでもしてみたいですね。

マネージャーこそ、人の力を借りれるように

細川:林さんの中で逆説的な考えというか、「賛成する人は少ないけれど大切な真実」だと考えていることはありますか?

:今の世の中の流れには逆らっていますが、高いレベルのビジネスパーソンになるためには、人生の中でとてつもなく一生懸命働く時期があった方が良いと考えています。
それが自分の伸びしろの幅を変えたり、どこまで自分が頑張れるかの限界値がわかって、余力を持って仕事ができたりすることに繋がる貴重な経験になるはずです。
逆に言えば、自分の限界値を知らないと常に不安な状態で仕事をしなければならないことがあって、それはメンタルリソースとしても無駄な消費だと思います。それに不安がある人は絶対に伸びしろの手前で止まってしまうので、扱える仕事の量や経験の質も全然違ってくる気がしますね。

細川:確かに自分も修羅場のような時期を通じて成長した経験はありました。しかし今は時代的な流れもある中で、メンバーマネジメントの文脈ではどう考えていますか?

:自分はメンバーに選択してもらっています。「それなりに頑張り、それなりに成長したい」か「ものすごく頑張り、濃い経験と能力値を付けたい」なのか、どちらのタイプかという話はするようにしていますね。
前者の場合はそこまで重たい仕事は振らずに無理をさせないようにします。そうなると当然後者に比べてアウトプットの量は減るので、そこは給与的だったり人員的だったりと他の部分で調整しながら、総量を維持できるようなマネジメントをしています。

細川:一方で後者のように、ものすごく頑張って成長したい人のマネジメントはどうしていますか?働きすぎて体を壊さないような見極めも重要となりますよね。

:最近だと働き方をモニタリングするツールも揃っており、勤怠状況によっては危なくなる前に人事や総務から連絡が来るようになっています。また、個人的にも危なそうだなと感じたら話す機会を作るようにしていますね。

細川:なるほど。とはいえ、結構なマネジメントスキルが求められるように感じます。

:そうですね。でも実は、マネージャーの仕事の本質はその辺りにあると考えています。自分のパフォーマンスを出すことも必要ですが、チームメンバーが望むパフォーマンスの出し方をプロデュースすることがマネージャーの一番の仕事だと感じています。

細川:モノグサでもマネージャーになってもらう方が増えているのですが、そのようなマネージャー陣に対して林さんから何かメッセージはありますか?

:マネージャーといっても役割や権限が違うだけで、もちろん完璧ではないので。あまり気負いすぎずに、困った時はメンバーの力を借りるぐらいの気持ちで臨む方が良いんじゃないかなと思います。むしろメンバーの皆さんにも、完璧ではないマネージャーを上手く使う方法を考えてあげてほしいと伝えたいですね。
マネージャーとして現在向き合っている問題を明確化すれば、周りにそれを解決するための引き出しを持っている人が必ずいるはずです。マネージャーというポジションになったのであれば、今まで以上に周りの力を借りるようにするのが重要だと考えています。

仕事で大事にしているのは「何をしているか」よりも「誰と働いているか」

細川:最後の質問になるのですが、林さんはお子さんに対して自分の仕事をどのように説明していますか? 

:自分の子どもにですか?

細川:はい。仕事で大切にしていることが端的に示されてるのではないかと思い、この質問をさせていただいています。

私にはリクルート時代に経験したファミリーデーのエピソードがあるんですよね。
イベントの中で子供たちに投資部門の仕事を説明する機会があったのですが、そこで私の尊敬する上司が「僕らの仕事は世界中に仲間を作る仕事です」と仰っていまして。すごく納得感があったんですよね。M&Aでも資金調達するにしても、ファイナンスの仕事ってそういうことだなと。
自分たちの会社のビジョンやミッションに共感してもらって、「一緒にやりましょう」と関係を築いていくことがビジネスの本質だなとその時感じました。

:なるほど、興味深いお話ですね。子どもにそのまま説明してる訳ではないんですが、自分の経営管理という仕事について、会社に入ってきた新人には、社内でなされる様々な意思決定のための定量的なデータや定性的な素材をわかりやすく提供する役割があると伝えています。

で、実際子どもにはどう説明するかというと、自分は、仕事において「何をしているか」よりも「誰と働いているか」の方が大事だと考えているので、後者にフォーカスして子どもには伝えるようにしています。
普段から職場のメンバーについての話をしたり、実際に会社の人たちと触れ合う機会があったら積極的に子供を連れていったりして、どんな人と働いているか知ってもらう機会を多く作るようにしていますね。

細川:おお、それは面白い視点ですね!

:その結果、サイボウズでは、違う部門の同僚のお子さんとも仲良くなったりして、一緒に遊んだりもしています。(笑)

細川:「誰と働いているか」が大切ということで、これからはモノグサメンバー一同も宜しくお願いします。

:こちらこそ、宜しくお願いします。
自分が経験した修羅場のお話も細川さんに共感いただけると思ったので、させていただきたかったのですが(笑)、また今度ですかね。

細川:それは聞きたいですね。是非またどこかの機会で続きをしましょう!