一人法務を卒業した筆者による一人法務の振り返り【入社前版】
こんにちは。モノグサ株式会社で法務を担当している良知と申します。2024年8月1日に当社の法務チームは2名体制になり、一人法務を卒業できたので、一人法務を経験したいと考える方に向けて、記事を執筆することにしました。
なぜ一人法務で働こうと思ったのか
我ながら幸運だなと思うのですが、当社に入社するまでに、新規事業の立ち上げサポート、知財の出願戦略の策定、侵害品対策、官公庁とのやり取りなど、様々な経験をさせていただいてきました。
そんな中、色々と制約を受けたコロナ期間中に改めて自分のキャリアについて自問自答した結果、新しいことにチャレンジをし、苦労しつつも乗り越えた経験を再度味わいたいという気持ちが強くなりました。
今まで経験したことがないことと一人でやり切ったことがないことを洗い出してみました。ゼロからの法務組織作り、取締役会等の組織体運営、M&A、規程整備、特許…と思いのほか色々あり、どれに重点的にチャレンジしようと考えた結果、一人なら法務関連の仕事は全部できるじゃないか!と思い、一人法務として勤務できる環境を選ぶことにしました。
一人法務を目指す際の転職活動
一人法務になるためには、法務に専門性を持つ方がいない会社に採用してもらわなければなれません(当たり前)。しかし、一人目の法務を採用したい会社は、比較的小規模なことが多く、一人で見つけるのは中々難しい場合も多いのです。
そのため、私は定期的にやり取りをしていたスタートアップに強みを持つ人材紹介エージェントさんにご相談するという形で、いくつか候補先を探していただきました。
定期的にやり取りをしていた人材紹介エージェントがいないよ、、、という場合は、ビズリーチやWantedlyのレジュメを更新すると、エージェントさんからお声がけいただけると思いますので、まずはエージェントさんと打ち合わせをし、何人かと相談する中でご自身がやりやすいなと感じかつスタートアップに強い方をできれば信頼できる人を数名見つけ、そこから一人目法務を採用したいと考えている会社をご紹介いただくのが良いと思います。
一人法務を目指す際の転職準備
一人目である以上、幅広い法務スキル(知財スキルなど関連スキルを含む)が求められる可能性が高いので、自分が今まで経験してきたことをまずまとめます。
その中から、自分の得意なこと、自分ひとりでできること、弁護士等専門家のサポートを受けながらできること、サポートを受けても実施に不安があることを分類し、自分の強みと弱みを見える化します。
自分の得意なことは、今まで自分が経験をしてきた業務の中で、一緒に仕事をしてきた他部署の人から評価されてきたことを記載します。自分の場合は、新規事業立ち上げサポート(特に新しいビジネスの座組作りと関連する契約書作成)、IT関連の契約書作成、著作権法を得意なことに分類しました。
次に、上にも書きましたが、組織体運営、M&A、規程整備は一人でやり切ったことがないので弁護士等専門家のサポートを受けながら進める業務に分類、特許は権利化手続きは全く経験したことがなかったのでサポートを受けても実施に不安があることに分類しました。
加えて、職務経歴書を作成します。大体どこの転職サイトにもフォーマットが掲載されているので、自分の経歴をまとめていきます。
これらをまとめ終わったら、先ほどのエージェントさんに自分の強みと弱みとしてお伝えして、自分の強みを活かせかつ、自分の弱みがある程度許容される転職先を探していただいておりました。
一人法務を目指す際の面接準備
書面にまとめたことをすらすらと人前で話す自信のある方以外は面接準備もしておいた方が良いです。
転職エージェントによっては、模擬面接を行ってくれるところもあるので、模擬面接をしてもらう。または、最近はカジュアル面談からスタートする会社さんも多いのでカジュアル面談をいくつか受けてみる。最後に、ちょっとずるい手になりますが、あまりご自身の志望度の高くない会社の面接をまず受けてみます。
私は、まとめたことをいきなり人前で分かりやすく話すのはあまり得意ではないので、実際に模擬面接やカジュアル面談をして、場慣れしてから面接にいどんでいました。
あとは、面接でよく聞かれることについては、ある程度自分の中で回答を作っておくのも良いと思います。例えば、仕事における一番の成功と失敗、そこから何を得たのか、仕事をするうえで何を大事にしているのかなどなどです。
最後に、一人目法務を求めている会社の多くは、リスクをゼロにすることを求められるよりは、既存の事業についてどうしたらリスクを少なくしても実施していけるかに重点を置いていることが殆どです。リスクが一定ある事業を事業部・専門家と協力して、リスクを低減しつつ前に進めた経験をお持ちの場合、その経験についてまとめておくのもおすすめです。
いざ面接へ!
ここまで準備をしたらいよいよ面接です。
自分の経験では、凡そ3回の面接で合否が決まることが多かったです。
会社によっても違いはあると思いますが、凡そ1次面接は一緒にお仕事をする同僚となる方との面接で同僚との相性とスキルのチェックが、2次面接では上長となる方との面接で主にスキル面が、最後は上長または経営層と会社のカルチャーとマッチするかがみられることが多かったです。
また、最近は2次面接合格の後、バックチェックの実施を求められることが増えてきました。なので、自身の経歴や仕事ぶりについて回答してくれる同僚又は元同僚は大事な存在になります。
とはいえ、転職を経験したことがなく同僚にバックチェックをお願いすることが難しい場合もあると思います。おそらくその旨転職先に説明すれば、人数を減らしてくれる(通常は上長と同僚2名と指名されることが多いと思います)など対応してくれるとは思いますが、できるだけ対応できるように準備しておくと良いと思います。
内定・そして退職へ
面接を経て、内定をいただくとその内定に応諾するか決断を迫られます。
内定を出していただいた企業にもよりますが、一人目を探している企業の場合、2か月後など早いタイミングでの入社を求められることが多いです。また、内定を受けるか検討する期間も、1週間から長くても2週間以内とされることが多いようです。
ですので、興味がある転職先が複数ある場合は、事前に面接日程も調整しておく必要があります(エージェントにお願いしている場合、うまく調整してくれる場合が多いですが、ご自身で対応する場合はかなり大変になります)。
そして、内定に応諾する旨回答したら、できるだけ早いタイミングで現職にも退職する旨を伝えます。
法務業界は思いの外狭く、私自身も転職先に元同僚がいた、または後から入社してきたことを数回経験しています。なので、現職の人間関係もできるだけ大事にしておくことを個人的にはお勧めします。
まとめ
少し長くなってしまったので、今回はここまでにしたいと思います。
次回は、実際に一人目法務になって苦労したことや気が付いたことなどを中心にお話しできればと思います。
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