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モノグサ初のユーザー招待イベント「Monoxer Fes 2024 -The Memory-」、初開催に向けたCFOの本音

2024年6月15日、「Monoxer Fes 2024 -The Memory-」(通称:モノフェス)。
モノグサ株式会社では、ユーザー参加型のイベントを初開催しました。

次回開催に向けて様々な改善点は色々あるものの、登壇者、参加者のMonoxerユーザーの皆様によって「1回目としては大成功!」という形で終わったのではないかと感じています。
(改めてご参加いただいた皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。)

今回、モノグサとして初の大きな試みの開催を起案をしたCFO細川さんに、根掘り葉掘り「モノフェス」の詳細を伺いました。


メンター・菅原さん(@cosme CFO)との対話でアイデアが発酵

ーー今回、細川さんが「モノフェス」を開催しようと思ったきっかけを教えていただけますか?

細川:僕には、昔からお世話になっているメンターの方がいます。その方は、@cosmeを運営しているアイスタイルという会社の創業から関わっているCFOの菅原さんという方です。
菅原さんからいただいたアイデアが「モノフェス」を開催したいと思ったきっかけになりました。

菅原さんには、現在少なくとも年1の頻度で食事の機会をいただき、様々な相談をさせていただいています。直近は、2023年11月にお会いして「モノグサの3ヵ年の中期計画を作っている途中だ」という話をしていました。

ーーモノグサの中期計画ですか?

細川:そうです。作っていた理由はいくつかあったのですが、1つとしては会社が大きくなってきた中で「従業員が同じ方向を向ける指針」のようなものを作らなければいけない度合いが高くなっているのではないか、と感じていました。

その際に、中期計画があると「ここに向かっていけばいいんだ」とエンゲージメントやモチベーションを高められるんじゃないかと考えており、その話をしました。すると「良いと思うが、3年以上先を確実に見通すのは難しいので、1、2年位をしっかり固めて、その先は柔軟に考えるほうが良いと思う」とアドバイスをいただきました。特にスタートアップは、状況の変化に合わせて変えられる機動力も強みであるので、そのように言っていただいたと感じています。

加えて、「従業員に同じ方向を向いてもらう」という点では「イベントも良いよ」とアイスタイルが年1回実施しているイベントの事例を話していただきました。

当初考えていた中期計画よりも、そのイベントの方が、自分が考えていた課題を解決できると思ったので、その日菅原さんと解散した直後に「イベントを開催したい」とVpoB村田さん(には申し訳ないと思っているのですが)にメッセージを送ったことを記憶しています。

ーーどんなイベント事例のお話だったのでしょうか?

細川:アイスタイルが年1回実施している「@cosme BEAUTY DAY」というイベントです。
アイスタイル、エンドユーザー、化粧品メーカーの3者が一体となっている大きなイベントです。

このイベントは、従業員が運営主体なのですが、毎年大きな感動をもたらしているという話でした。このイベントによって自社の従業員のみならず、参加した化粧品メーカーの従業員の方々もモチベーションが上がるケースも多いというお話でした。

僕が良いなと思ったのは、従業員が主体となってユーザーや顧客といったステークホルダーに向けてイベントを企画・運営することで自社の事業の価値について再認識できる点です。この形はモノグサにも合うんじゃないかと思いました。

ーーなるほど、そうですよね。ちなみに元々、菅原さんはリクルート時代の上司の方だったのでしょうか?

細川:いえ、そうではないんですよ。僕がリクルートのベンチャーキャピタルファンドで働いていた時、出資させてもらっている会社がいくつかありました。その中で、とある出資先企業に対してアイスタイルさんからM&Aの打診をいただきました。

その時の買い手の責任者が菅原さんであり、私は売り手の責任者でした。
当時の僕は若かったので、肩ぶん回して「でっかく売ってやろう」と意気込んでいました笑。交渉の過程で、出資先の代表の方も交えながら色々とコミュニケーションを重ねた結果、最終的には(私の見立てですが)関係者にとって納得感のある着地となり、ディールクローズしました。

ーー「仲間!」って感じの出会いではなかったんですね。

細川:そうですね、もちろん敵ではないですが、彼らとしては当然「(会社を)安く買えた方が良い」、私たちとしては「(会社を)高く売れた方が良い」ということになるので、ガチンコな交渉相手でした。その時の僕は完全に若造だったのですが、菅原さんが真剣に向き合ってくれたことに感銘を受けて、未だにお付き合いさせていただいてます。

リクルートを辞めて、モノグサにジョインするタイミングで、色々な方にモノグサへの投資の相談をしていた時に、菅原さんにもご連絡をしました。菅原さんは、アイスタイルとは別でiSGSというVCの代表でもあったので、出資の依頼をさせていただきました。

「あの時の細川です。今度会社をやるので話聞いてもらえませんか?」と連絡をしたところからはじまり、久しぶりに話をすると「細川君だったら投資するよ」と言っていただいて、初期の段階で無事出資してもらったという経緯もあったりします。

ーーなんと!菅原さんとは、出資いただいている関係でもあるんですね。

細川:はい、株主でもあります!

ユーザーへの価値提供を通して「モノグサメンバーそれぞれのモノグサにいる理由」と「全社で共有できる原体験」を創りたかった

ーーアイスタイルのイベント事例が良いと思って「モノフェス」実施を決めた背景についてお聞きしたいです。当時の細川さんはどんな狙いで、イベントを実行したいと思ったのですか?

細川:2つのことを考えていました。

1つは、モノグサの従業員には時間や労力と言った貴重なリソースを投下して、モノグサで働いていただいています。だからこそ「なぜ自分がモノグサにいるのか」ということに確信を持っていてほしいと思っています。採用面接の過程でミッション共感を重視するところにも繋がっています。ただ、入社時は明確に持っていたとしても、時間が経つにつれて薄れていったりすることもあると思います。

そのためイベントを通じて様々な種類の「ユーザーへのMonoxerの提供価値」を生で感じることから、モノグサにいる理由を再確認する1つの機会になったら良いなと思いました。

そしてもう1つは、人が動く時に、給与等の待遇は大事だと思うのですが、「気持ちが動く、感動する」ということもとても大事だと思っています。もちろん、それぞれ、Monoxerの提供価値に関する原体験があったりすると思いますが、顧客接点の度合い等で、その持ちやすさが異なるとも思います。そういうものをイベントを通じて、ユーザーの皆様も交えて全社的に共有できると良いなと思いました。

ーーモノグサの人数が増えたからこそ、イベントを通じて、みんなで1つの原体験を共有したいと思ったのでしょうか?

細川:人数の軸と時間軸だと思います。人間、長く何か1つのことをやり続けたり、向き合ったりすると、飽きちゃうというか「なんでこれやっているんだっけ?」となる瞬間がくると思います。だからこそ、定期的に原点に立ち返ることは大事なんじゃないかなと思っています。

ーーこの意思決定は、菅原さんの話で決めたというより、細川さんの中に元々あったものが「後押しされた感覚」に近いのかなと感じました。

細川:そうですね。自分の中に課題感があって、手法として最初は中期計画が良いと思っていて、イベントみたいなものはアイデアとしてはなかったです。むしろ今思うと、抱えていた課題に対しては、中期計画を策定して発表することはあまり合っていなかった感じもします。もちろん中期計画によって、指針や優先順位はできるようになると思います。ただ、中期計画はビジョンではないので、モチベーションやエンゲージメント向上とは別物だと、今では理解をしています。

掲げている「生産性」というキーワードと相反する葛藤、より大きな成長を目指している今年だからこそ開催を決行!

ーー 一方で、「モノフェス」の検討を進めていく中で、実行するかどうか細川さんが最後まで悩まれていたと記憶しています。

細川:2024年の年始から本格的に検討を開始して、3、4月の年度の変わり目に会場やコンテンツなどイベント内容が具体化してきましたよね。
今年度、モノグサのより大きな成長を目指して「生産性」をキーワードに掲げて、CFOの立場として僕が旗を降っています。その僕が、費用対効果が不明瞭な施策にコストを投下することが正しいのかと、自問自答しました。

ーーそうだったんですね。「今年やらなくても、来年やれば良い」という選択肢もあったのかなと思っておりまして、今年にこだわった理由はあるのでしょうか?

細川:そうですね、非連続的な成長を目指す上で、良くも悪くもこのままでは不十分という感覚がありました。このまま進んで辿り着くのであれば、このような新たな取り組みにチャレンジする必要がない。逆にその手応えが薄いからこそ、リスクを取って今やるべきだと思いました。

当初コンセプトとして掲げていた「"エモ"フェス」の通り、参加者の心を動かすイベントの開催に成功

ーー実際「モノフェス」をやることに対して不安とかありましたか?

細川:準備に関しては、村田さんをはじめ、社内の運営メンバーが尽力してくださっていたので不安はなかったです。
ただ「モノフェス」をやることに対して「従業員がどれくらい自分ゴトとして捉えてくれるか」に関する不安はかなりありました。「ここにコストかけるなら、別のことにお金をかけた方が楽になるのに」と思うこともあるだろうなと。

また僕が「生産性上げましょう、コストを最適化しましょう!」と言っている中で、このイベントを進めることは「言っていることとやっていることに矛盾しているのではないか」という反発は普通にあるだろうな、と思っていました。

ーーこれってどこかで解消されたみたいなことはあったんですか?

細川:ないですね。正直、最初の熊本ゼミナール株式会社(以下、「熊ゼミ」)様の発表、もしくはリハーサルを見るまで、「やって良かった」と断言できる確信は持てなかったです。

ーーリハーサルの時点でも良さを感じたんですか?

細川:はい。なぜ感じたかというと、ゲストの発表者とカスタマーサクセス担当者の距離の近さをみて「すごくいいな」と思ったんですよね。本当に信頼関係が出来ているんだなと。また、登壇者がそれぞれ今日の場をすごく楽しみにしている感じが伝わってきました。
その瞬間、今日のイベントは絶対良いものになると確信が持てました。

ーー熊ゼミ様に関してはいかがでしょうか?

細川:大前提、全ての発表が素晴らしかったのですが、熊ゼミ様に関しては発表順が一番ということもあり、非常に印象に残った講演でした。もちろん名前や概要は存じ上げていたんですが、最初の自塾の紹介の話を聞いて、本当にユーザーに向き合っている素晴らしい塾なんだなということを改めて感じました。

僕らは塾や学校に向けて、「生徒の成績向上が大事だ」と言ってきたわけですよね。ただ実際、塾や学校によっては、それよりも優先度が高い課題があり、Monoxerが採択されないケースも多々見てきました。そのような中でもブレずに「成績向上が大事だ」と強固に言い続けています。
そこが熊ゼミ様と擦り合っていたのを感じられて、非常に感慨深い気持ちになりました。
Monoxerの導入に関しても、強い想いを持って進めていただいていたことを知り、とても感謝しています。

ーー講演以外で印象に残っている部分はありますか?

細川:カスタマーサクセス・セールスが接点のあるお客様と会話をするシーンを見ることができてよかったです。それだけでなく、開発メンバーがお客様と直接話している姿も見ることができて、これもすごく良かったなと思います。

あとは、株主や金融機関の方も来てくださいましたが、熱心にメモを取られていたということが印象的でしたね。
そして、お呼びした株主の方のうちの1人は「3回泣きました」と言ってくださっていたんですよ。

ーー3回も泣いていただいたのはすごいですね。

細川:そうですね。ちなみに「クラーク記念国際高等学校様の講演がオススメ」だったそうです。そういったコメントをいただき、お客様や従業員だけでなく、社外のステークホルダーの方に対しても1日で事業の価値を伝えられたのかなと思っています。

ーー実際、モノグサの従業員に向けてという観点では改めてどうだったのでしょうか。

細川:イベントに関しては、元々「エモフェス」というコンセプトで動いていたと思います。そういう意味では私も心動かされましたし、泣いていた方もいましたし、会場の熱気からも”エモ”が溢れていたと思いますね。ですから目的は達成できたのではないかと感じています。

ーー「エモフェス」というインナーのコンセプトを定めたことは結果的によかったのかもしれないですね。来年に向けて、現時点で思いつくことはありますか?

細川:来年も実施出来たらと思っています。1つ私が今思っているのは、富山商業高等学校様の発表で卒業生がいらっしゃいましたが、「卒業生も参加できる」ような形式は良いのではないかと思っています。

Monoxerは個人の記憶データを生涯学習に活用できるのが強みでありますが、現状、学校や塾などの自分が所属していた組織を卒業すると、Monoxerを使いたいのに使えないというケースが存在しています。

SaaSビジネスなので、しょうがない部分はありますが、一度Monoxerを使った方が、卒業後もファンでい続けてくれることはSaaSからプラットフォームへの進化にも繋がる素晴らしいことなので、そういう方々とも継続して交流できると更に良いなと思っています。

ーーありがとうございました!