Operationの存在しない新規事業におけるOpsの存在価値って?
この記事は Monoxer Advent Calendar 2023 16日目の記事です。
皆さん、はじめまして。
モノグサ株式会社でBusinessPlannning / Business Operations Manager(BizOps)をしている亀井と申します。
せっかくのAdvent Calendar企画なので、直近の仕事について考えてみたいと思います。
特に読んでほしい方
自己紹介
大学卒業後に外資系IT企業でコンサルタントをしていました。
モノグサには2020年に当時13人目、専任のCustomer Success(以下CS)としては1人目で入社しました。
2023年12月現在には社員数120人、CS単体でも25名程度まで大きくなりました!
最初は顧客折衝を担当していましたが、CSが増えるに従って少し視点を引き、CSの業務効率化やスキルアップのための仕組みを構築するCS企画(CS Ops)へ職種を転換してきました。
半年前からは新規領域におけるBusiness Plannningとして働いています。
CS一人目として、また新規領域唯一のOpsとして、組織が未成熟な中での企画職の動き方はお伝えできるかと思います。
いくつか会社の公式noteでも記事を公開しているので、そちらもご覧いただけますと幸いです。
モノグサ社における新規事業とは
モノグサ株式会社は、「記憶を日常に。」をミッションとして掲げ、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」の開発・提供をしている会社です。
塾・学校が主な顧客になりますが、直近は社会人領域にビジネス展開も進めています。
商品知識や資格取得、更にはセールストークを記憶するなど、「記憶×社会人領域」という切り口で試行錯誤をしています。
現在はCEO直下にSales2名とCS1名(&Ops1名)で活動しています。
SalesやCSと比較すると役割が曖昧なOps。
一体何をしたらいいのでしょうか...?
結論:事業の重要度を上げてOperationを構築するのがミッション
OperationなきOpsに存在価値はありません。
しかも売上高も大きくないので、会社内での優先順位も必ずしも高くありません。
なので、事業自体の優先度を上げること、その後にOperationも構築する2点が新規事業Opsの必要条件になると思います。
そのために重要なのは「やるべきことを洗い出す」「やる順序を決める」ことになります
やるべきことを洗い出す
普通のOpsと同じところ:基本は事業成長のためのなんでも屋さん
CS Opsの最も有名な定義は「CSのためのCS」かと思います。
組織の成功のために支援を行うのは新規・既存共通のOpsの基本概念です。
Gainsightや他社の事例もふまえて自分なりに整理をすると、主に4つの役割があると考えています。
Data&System
Salesforceの実装・管理など、必要な情報を取得できるようにします。
Process&Operation
Quote-to-Cash(QTC)と呼ばれる販管周りや社内流通がメインです。
Enablement
新メンバーのオンボーディングと現メンバーのトレーニングが該当します。
モノグサ社には営業検定/CS検定と呼ばれる独自の育成の仕組みもあります。
Strategy
事業計画やOKRの設計支援やモニタリングになります。
上記項目を参考にしながら、notionなどにやりたい事を羅列するのがおすすめです。
普通のOpsと違うところ:既存Operationが存在しない
究極ここに尽きます。
Operationを担当する部署なのに肝心なOperationが存在しません。
一例として私の参画時には定価が決まっていませんでした。
この状態だと、目標金額もその妥当性も検証できません。
決めるべきものは無限にあるので、順序立てて進めることが必要です。
やる順序を決める
1. やるべきことを守り/攻め、短期/長期にプロットする
「やるべきことを洗い出す」で抽出したやりたいことを守り/攻め×短期/長期のマトリクスにプロットしましょう。
意外な優先順位にも気づけるので、可視化することが重要です。
プロットの基準は大まかに下記を参考にしましょう。
私の場合、ざっくりこんな感じです。
2.「守り×短期」→「攻め×短期」→「攻め×長期」→「守り×長期」の順に注力する
やるべきことが決まると、「守り×短期」→「攻め×短期」→「攻め×長期」→「守り×長期」の順に注力します。
まずは守って、次に攻め、最後に守りに戻る点がミソです。
土台構築
深く考えなくても絶対に必要な項目を整備していきましょう。
Salesforceの基本項目整備や社内の会議体/ルール設計が該当します。
これにより事例創出に向けた仮説の構築や分析がしやすくなります。
また、実施した分だけ効果がすぐに出るので、自分の信用残高を増やす意味でも有効です。
これができると事例創出フェーズに進みます。
事例創出
誰もが羨む圧倒的な事例を創出しましょう。
リサーチや仮説設計がメインになると思いますが、一次情報が最も重要な時期なので、案件に参画するのもおすすめです。
中途半端な労力で中途半端な事例が生まれても、このまま進むべきかの判断が難しくなるので、工数や仕組み化は一旦無視してでもその案件に全精力を注ぎましょう。
(Opsとしてはあるまじき発言ですが…)
これができると、汎用化する旅が始まります。
戦略策定
事例創出期にできた事例を100個作るための戦略を考えましょう。
いわゆる事業計画の策定や各指標への棚卸が該当します。
これ以降のフェーズになると他部署の協力を得ることも必要になると思いますので、文脈が整理しやすいように丁寧目なコンテンツにすることを推奨します。
ここまで進むと最後に仕組みに落とし込んでいきます。
仕組み化
やっとOperationを構築できます。
関係者が指数関数的に増えても対応できる仕組みを構築しましょう。
販管周りなど、いわゆる(狭義の)Opsと言われる領域が主になります。
ここまで進むとOperationを磨き込んだり、より能動的な支援が主業務になっていきます。
番外編:今のモノグサは?
偉そうなことを言っている割にまだまだ未整備なことばかりです...
あえて擁護するのであれば、注力するべき順序は間違ってはいなかったのではないかと思います!
おすすめ心構え
N≧2の事例が出るまでは仕組み化をしない
Opsたる者、承認ルールや汎用資料など、仕組みを最初から作る職業病があるかもしれませんが、事例が複数個出るまでは「意図的に」個別対応をすることを推奨します。
特に新規事業に関しては仮説がかなりの頻度で変化するので、満を持して構築した仕組みが運用される頃には無用の長物と化すことも発生します。
N=1の際は個社特化で承認や対応を行い、類似の事例が出たタイミングで仕組み化を検討しましょう。
判断基準は「後ろめたさなく引き継げるか」
既存事業の運用ではNGだが、喉から手が出るほど欲しい事例創出のために、グレーな判断が必要になる場面も発生すると思います。
元上司の受け売りなのですが、そのような場面では「法律」「社内ルール」「倫理観」の3軸が重要であり、それらは切り分けて考えるべきとのこと。
法律違反がNGなのは分かりやすいですが、社内ルールに関しては前述の通り未整備な事が大半なため判断できません。そのため、判断軸は倫理観に収束します。
その際におすすめな基準が「後ろめたさなく引き継ぐことができるか」。
この瞬間他の誰かに引き継ぐとなっても、その判断の正当性を罪悪感なく主張できるか。
当たり前のように見えますが、他の事例と整合性が取れないケースや、短期的な視点で雑に承認するケースを防ぐ抑止力になると思います。
為せば成る...
「やる気があれば必ずやり遂げられる」という意味で用いられる格言です。
これは和歌の一部であり、全体では「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」になります。つまり、和歌全体では「やる気があれば必ずやり遂げられる。上手くいかないのはやってないから。」という意味になりますね。
新規事業のOpsって何でもできそうに見える半面、直接ARR貢献をする訳ではないので、「成らぬは人の 為さぬなりけり」として何の成果も出せない危険性も秘めていると思います。
この記事を書きながら「成ったは人の 為したためなり」と言い張れるように頑張ろうと改めて思いました。
Monoxer Advent Calendar 2023
Monoxer Advent Calendar 2023では、開発、ビジネス、コーポレートの様々な職種のメンバーが毎日1つずつ記事を公開していく予定なので、是非明日以降もチェックしてください✏️
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少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひお話しましょう!