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理想の教育コンテンツに必要なこと

モノグサでコンテンツマネージャーのマネージャー(ややこしい……)をしている鳥越です。
私はこれまでの社会人生活で、おもに教育コンテンツを作り続けてきましたので、教育コンテンツはこうありたい……!と考えていることを記してみたいと思います。


一言で表現すると、「その教育コンテンツに触れた人が、新たな知識・気づき・驚き・よろこびを得られるような教育コンテンツでありたい」と考えています。

新たな知識を与えるだけであれば比較的簡単です。受け手が知らないことを教えるだけで済みます。
たとえば……「銀毛は英語でsmoltといいます」という教育コンテンツがあるとしましょう。
そんなの知ってる、という方はおそらくほとんどいないでしょう。でも「銀毛」が何なのか、「smolt」が何なのかを知らない人にとっては、なんの役にも立たない知識で、気づきも驚きもよろこびもありません。いくらMonoxerのアプリで簡単に憶えられたとしても、その記憶活動は苦行のようなものになります。
なぜそうなるかというと、「銀毛は英語でsmolt」という知識と、すでにある知識とを結びつけることができず、離れてポツンと存在してしまう知識にはあまり興味を持てないからでしょう。

では、「魚の群れは英語でschoolといいます」という教育コンテンツであればどうでしょう。「school」が「学校」という意味を持つことを知っている人であれば少しは面白いと思ってもらえるのではないでしょうか。でも、これを小学校1年生の子に伝えても、多くの場合はポカンとするだけでしょう。

持っている知識との結び付けられるかどうかで興味の差が生じる例として、2種類の花に関する知識を与えてみます。

これはヒツジグサの花です。

これはブロッコリーの花です。

どちらもの花も、知っていたという方は少ないのではないかと思いますが、どちらかといえばブロッコリーの花のほうに興味を持つ方が多いでしょう。それは、花のことは知らなかったけれど、ブロッコリーというもの自体は知っていたからだと思います。
ブロッコリーの花の知識を得て興味が広がる人は、キャベツはどうだろう、ジャガイモは?オクラは?と学習をつなげていくことができます。
ちなみにキャベツとジャガイモとオクラの花はこんな感じです。

ブロッコリーとキャベツの花、少し似ていますね。
それもそのはず。ブロッコリーとキャベツは植物としてはヤセイカンラン(Brassica oleracea)という同じ種なのです。ほら、またブロッコリーの知識が少し増えましたね。

持っている知識との関連を見つけられるコンテンツを適切に届けることができれば、学習を苦に感じることなく世界を広げていくことができると信じて、そういった教育コンテンツを届けていきたいと思っています。

そこを見誤って、持っている知識から遠く離れたコンテンツを届けてしまうと、「銀毛」の英語なんてもう誰も憶えていない、ということになってしまいます。
きっともうこの花の名前も憶えていないことでしょう。

もちろん、持っている知識から離れたところにある知識を投げつけたあと、その周辺の知識を与えることで面白いと感じてもらえる教育コンテンツもあります。
憶えてもらえない「ヒツジグサ」の花の名前ですが、葉の形がヒツジの蹄に似ているからヒツジグサと名付けられたわけではありません。ヒツジグサを漢字で書くと「未草」で、花が未の刻(午後二時ごろ)に咲くことから名づけられました。
と関連情報を追加してつながりを生み出すことで、少しは興味を持って記憶に残りやすくなるのではないでしょうか。

ただし、そうしたコンテンツは一部の人の知識の領域を新しく作り出して広げる可能性を秘めてはいますが、早い段階で興味が持てずに脱落してしまう人も多く、苦に感じてしまう人も多いことでしょう。


以上、
・つながっていなかった知識をつなげるような知識
・すでに知っていることの先につながる知識
を届けることで、楽しいと思いながら学習ができる教育コンテンツを作り続けたい、というお話でした。

今回、このような教育コンテンツについて考えていると、私の旅行スタイルと類似点があることに気づきました。
私は大学時代に自転車旅行が好きで、よくテントを積んで日本や海外を走り回っていました。
今は車での旅をしますが、高速道路を使うよりも一般道で移動して車中泊をするような旅が好きです。
素早く移動して旅行先での時間を増やしたいという考え方も分かりますが、私はその旅行先が、普段生活をしている場所からつながっていることを感じられるのが心地よいのです。
私にとって、旅行も教育コンテンツも、自分の領域が連続して広がっていくことによろこびを感じているのかもしれません。

ちなみに、「銀毛は英語でsmolt」は、私が水産系の道を歩んでいた大学時代に、「銀毛」なんていう言葉にもちゃんと対応した英語があるんだ!と驚きを感じた新たな知識でした。


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